公開日:2025/02/15
春の訪れとともにやってくる悩みの種「花粉症」。快適に生活したいなら、花粉の影響を最小限に抑える工夫を取り入れたいものです。外から持ち込まれる花粉を防ぐ設計や設備はもちろん、空気の循環や掃除のしやすさにもこだわれば、快適な暮らしが実現するでしょう。今回は、注文住宅で取り入れたい花粉対策をご紹介します。
花粉が侵入する経路を理解することは、対策を講じるうえで非常に重要です。花粉は、どのような経路で室内に入り込むのでしょうか。
まず、帰宅時の玄関が大きな侵入経路のひとつです。外出先で衣服や持ち物に付着した花粉が、玄関を通じて室内に持ち込まれます。
環境省の「花粉症環境保健マニュアル2022」によれば、ウールは木綿や化学繊維よりも花粉の付着量が多いというデータがあります。凹凸の多いデザインの衣服も同様です。このため、室内に入る前にブラシやクリーナーで衣服の花粉をしっかり払い落とすなどの対策が有効です。
また、外に干した洗濯物も重要な侵入経路です。洗濯物や布団に付着した花粉が、そのまま室内に持ち込まれてしまうことがあります。とくに花粉が飛散する季節には、外干しを避けて室内干しや乾燥機の使用を検討するとよいでしょう。
布団の場合は、布団カバーを活用したり、外干し後に掃除機をかけて花粉を取り除く工夫が求められます。
花粉症でお悩みの方にとって、新築を建てる際に家そのものが花粉対策を施す仕組みを持つことは、生活の質を大きく向上させる可能性があります。ここでは、家づくりの段階で取り入れることができる具体的な花粉対策をご紹介します。
高気密・高断熱の高性能住宅は、外気と室内の空気の出入りを最小限に抑えるため、花粉が侵入しにくい環境を作ることができます。また、計画換気システムを組み込むことで、外気の影響を受けずに室内の空気を循環させ、つねにきれいな空気を保てる点も大きな利点です。
このような住宅は建築コストが高めですが、花粉症対策に加えて家族の健康維持や快適な生活空間の提供につながるため、検討する価値があります。
24時間換気システムには、第1種、第2種、第3種の3種類がありますが、花粉対策として最適なのは「第1種換気」です。このシステムでは、給気口と排気口の両方に換気扇を設置し、室内の空気循環を徹底的にコントロールできます。
また、熱交換システムにより室温を一定に保ちながら、新鮮な空気を取り入れることが可能です。さらに、高性能フィルターを給気口に取り付ければ、外気から花粉を効果的に遮断できます。
玄関は、外からの花粉を室内に持ち込まないための重要なポイントです。玄関にシューズクロークを設置し、外で使った上着や帽子、靴を収納するスペースを確保することで、室内に花粉が侵入するのを防ぎます。
また、玄関にハンディ掃除機を設置することで、衣類や荷物に付着した花粉を手軽に吸い取ることができ、より効果的です。
花粉シーズンには、外で洗濯物を干すと衣類に花粉が付着するリスクがあります。そのため、家の間取りにランドリールームを取り入れることをおすすめします。
ランドリールームは、天候や季節に左右されることなく洗濯物を干せるスペースとして活用でき、とくに花粉が多い季節には非常に有効です。
花粉の季節になると、多くの人が家の中でもくしゃみや鼻水、目のかゆみに悩まされます。外出時のマスクや眼鏡の着用はもちろん重要ですが、家の中でできる花粉対策も大切です。ここでは、日々の暮らしで実践できる具体的な花粉対策を紹介します。
まず重要なのは、花粉を家の中に持ち込まないことです。帰宅時には、玄関から少し離れた場所で洋服や髪の毛についた花粉をしっかり払い落としましょう。
玄関近くで花粉をはらうと、そのまま家の中に入ってしまうリスクがあります。また、帰宅後すぐにシャワーを浴びたり髪を洗ったりすることで、体に付着した花粉を完全に洗い流すことができます。
家の空気を入れ替える換気は、花粉が少ない時間帯に行うのがポイントです。環境省によると、花粉の飛散が多い時間帯は8〜20時です。
この時間帯を避け、早朝や深夜に換気をすることで、室内への花粉の流入を最小限に抑えることができます。
また、雨の日には花粉が湿気で地面に落ちるため、換気のチャンスです。晴れた日中に換気を行うと、1時間で約1,000万個もの花粉が室内に入ることもあるため注意しましょう。
外干しは、洗濯物に大量の花粉が付着する原因となります。そのため、花粉の季節は洗濯物を室内に干すことをおすすめします。
ただし、室内干しには生乾きの臭いや乾きにくさといった課題があります。これを解消するためには、乾燥機やサーキュレーターを使うのが効果的です。
また、洗濯時に柔軟剤を使用することで、洋服に花粉が付きにくくなる効果も期待できます。
花粉は玄関、洗濯物といった経路から侵入します。しかし、家の気密性を高めたり、室内干しスペースを設けるなど、日常生活の中でできる限りの防止策を取り入れることで、花粉シーズンでも快適な住環境を保つことができます。家族の生活の質を高める一環として、花粉対策を考慮した家づくりをぜひご検討ください。